ヨーロッパの統合 | | |
■欧州統合の原点は、第二次世界大戦後の1952年にできた欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)。フランスや西ドイツ(当時)、イタリア、オランダ、ベルギー、ルクセンブルグの6カ国で結成された。長年の紛争の種だった石炭資源や鉄鋼業を共通管理することで、統合の基礎をつくった。
■58年には欧州経済共同体(EEC)が発足し、67年には各種機関を統合して欧州共同体(EC)になった。93年には12カ国で欧州連合(EU)に。04年に旧共産圏の東欧諸国など10カ国が一挙に加盟した。07年には27カ国に膨らんだ。
■2009年11月中旬には、新たに統合理念の再確認、効率的な機構改革を求めてリスボン条約を締結し、EU連合のアイデンティティとなるべく大統領や外相を選出した。今後は益々、統合の深化をはかることが求められています。
■EUの加盟国になるためには、民主主義や法の支配、人権など共通の価値観を共有することが求められる。このため、外交や農業、エネルギー、税制、環境、司法など35の政策分野で「EU基準」を採用し、国内法に適用する必要があります。現在の加盟候補国はマケドニア、モンテネグロ、セルビア(以上旧ユーゴスラビア)とトルコ、アイスランドの5カ国。(2013,07朝日新聞より)
■2013,07現在、加盟国は28カ国に拡大し、地球規模の問題(環境、金融危機)やさらなる加盟国問題に直面すると加盟国間に新たに利害の溝が出来たりして、統合の意味合いや求心力はが揺らぎはじめています。
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シェンゲン協定(Schengen agreement | | |
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■ EUの統合に伴い、”人の移動”に関して、*各国まちまちであった出入国手続きを統一簡素化し、◎域内の人々(ヨーロッパ外からの旅行者含む)には国境を廃止し移動を容易にし、◎域外(第三国)からの移民問題に対しては可否を柔軟に行い、◎犯罪対策に対しては、情報を共有し、すばやい対策を講じる等、統一されたルール造りが必要となりました。ここに”人の移動”を主眼とした
シェンゲン協定が締結(1985年初回締結、1995年改訂施行)されました。
■ 現在、
シェンゲン協定は、31カ国で調印又は批准されて、25カ国で実施されています。実施国では実質、国境検問は廃止された。
■ 具体的には、アイルランドとイギリス(は批准国)を除く全てのEU加盟国及び、EUに非加盟であるアイスランド、ノルウェー、スイスとリヒテンシュタインの計29ヶ国が協定に調印し、そのうち25ヶ国が実施国となっています。(下記のテーブルを参照下さい。)
■ シェンゲン協定加盟国間では、共通のシェンゲン査証により相互に入国ができ、手続きは簡素化されました。
■ 一方では、この協定によって、中東、アジア、アフリカ等の非EU国民にとっては、長期の滞在による居住や就業が難しくなったといわれ、この協定の裏には、不法滞在対策や不法移民対策の目的もあるといわれています。
■ 一般的な規則として、査証免除国である日本人について言えば、基本的ルール・・・・
最初に入国した日から数えて180日の間で、滞在日数は累積カウントされ最大90日間・・・・を厳守すれば、シェンゲン地域内(以下”シ地域内”)をビザ無しで移動することができます。この基本的ルールに関連して、次のような留意事項があげられます。
(1) このルールは観光、商用、知人訪問等の短期旅行に適応されます。報酬を得る目的の旅行や長期滞在が予定される留学は適応外で、別途、所定のビザが必要です。
(2) シ地域内を旅行する時、最初に到着(トランジットも含む)した国で、入国手続きをします。また、最後に出国(トランジットも含む)する国で出国手続きをします。これは、シ地域内を一国と看做しているからです。一度入国を済ますとシ地域内移動時、原則、パスポートの提示の必要はありません。但し、空路で入国する場合は提示をもとめられます。
(3) シ地域内を旅行する時、最初に到着した国で、実際入国する場合とトランジットのみの場合に分かれて手続きします。実際入国する場合は、空港税関を通り、入国手続きと入国審査を受けます。トランジットのみの場合は入国手続きのみです。続いて、実際に入国する国に飛び、入国審査を受けます。
いづれの場合も、入国手続きの際には、パスポートに日付付入国スタンプを必ず押してもらって下さい。(スタンプがない場合は係官に申し出ましょう。)
最近、係官によっては、この入国スタンプを省略する場合があり、省略されると、出国時に滞在日数の証明ができず、トラブルになるケースがあります。注意ください。また,入国方法や入国日を証明できる手段の1つとして、万一のためにも往路の航空券・搭乗券は保管しておくことが大切です。
(4) また、シ地域内から帰国の際も、出国手続きと出国審査を念頭にいれる必要があります。最終国から直接帰国する場合は空港税関にて、出国手続きと出国審査(パスポート提示と荷物検査が主)をおこないます。最終国からトランジットのみの国を経由する場合は、最終国の税関で出国審査を受け、トランジット国の空港で出国手続きを受けることになります。この出国手続きの時、シ地域内での累積滞在日数が90日以内であるかがチェックされます。
(5) 90日間を消化すると、次回の入国は最初に入国した日から数えて180日以降となります。ビジネスや婚姻手続き等で、一般ルール以上に滞在が必要な場合は、主たる目的国の駐日大使館や領事館に相談してください。
(6) この90日間は厳格に守る必要があります。一日でもオーバースティすると出国はできても、再度入国ができなくなります。悪質オーバースティの場合は強制送還となる場合もあります。
(7) 現在(2013年12月)シェンゲン協定に調印はしているが、実施は検討中の国が4カ国あります。(下記テーブル参照下さい。)これは、EUに加盟するにはこの協定を受けいれることが条件となっており、”取り敢えず”調印しているからです。今後は、EU加盟を求めて、”取り敢えず”調印をしたり、調印国から、実施国に発展したりする国は増える様相です。ヨーロッパ旅行前にはネットなどでよく調べて下さい。
(8) シェンゲン協定実施国や批准国で、滞在条件が異なる場合があります。
例えば、 オーストリア(実施国)は1年間に連続半年の滞在が可能。
イギリス(批准国)は連続半年の滞在が可能。訪問前には、各国の詳細を駐日大使館や領事館でよく確認して下さい。
(9) ソ連の崩壊に伴い、中、東欧で独立国家が生まれ、EU連合に加盟し始めると、その国境問題や、移民政策は従来のシェンゲン協定では対応できない部分も出て、現在、シェンゲン協定は、EU連合の司法・内務分野の制度の一つとして扱われるようになりました。
(10) 今、EUは地政学的な近隣諸国を出来るだけ多く取り込み、開かれた政治・経済ブロックの創出に取り組んでいます。その中で、シェンゲン協定もいろいろ時代に沿った変遷を受けながら、運用されていくと思われますので、十分な注視が必要です。
(11) <北欧規定>シェンゲン加盟北欧5ケ国地域に「6ケ月内90日間」滞在した場合は、出国後、シェンゲン加盟国外で6ケ月を経なければ北欧地域を含むシェンゲン加盟国に再入国することができません。
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| | (VAT:英語「value-added tax) (TVA:仏語「taxe sur la valeur ajoutée」) |
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(1) 欧州連合(EU)は、VATを加盟国の共通税制と定めて、すべての加盟国に導入を義務付けました。これは、EUが単一市場として機能するためであり、国内および域内での公正な競争を守るためです。ちなみに税率は、標準税率の下限が15%と定められて(2015年12月31日まで)いますが、上限に関する規定はなく、加盟各国に設定の権限が委ねられています。加盟国は、この標準税率のほか、特定の商品やサービスに対して、数種類の軽減税率(下限は5%)を適用することができます。軽減税率の適用が認められているのは、食品、水道水、書籍、医薬品など、21項目の商品やサービスに限られ、加盟国は独自の判断で適用品目・サービスを選択し、税率を設定することができます。
(2) EUに加盟する国々では概して商品の物品税(VAT又はTVA)は高く、我々日本人のような第三国人は、EU各国で購入した商品のVATを払戻しする手続きができます。この還付制度はEUという共通経済市場で適用されるもので、シェンゲン協定とは関係ありません。また、一店舗につき、例えば、155ユーロ(国により差があります。下記のリストを参照下さい。)以上買い物をした場合、EU加盟最終国で、各国で購入した製品をまとめて還付手続きができます。また物品税の還付に関して、
店を次の3種類にわけて、対処を考える必要があります。
(a) 免税店:空港税関を通過後、最後のショッピングを楽しむような免税店では、価格に物品税は含まれていませんので、この払い戻しの対象になりません。
(b) グローバル・ブルー社(GB社、旧名:グローバル・リファンド社)と契約している店(世界35カ国24万店以上):払い戻し手続き専門のこのGB社と契約している店は観光都市には多くあり、店先には、”タックスフリーショッピング”のマークが掲げられています。
この店で買い物をした時、店員に「リファンド プリーズ」や「リファンド・チェック プリーズ」と言って、リファンド申請用紙をもらい、その場で店員にチェックをうけながら申請を作成します。後は出国時の税関で、品物とパスポートを見せて、リファンド申請用紙に確認スタンプを押してもらいます。帰国時空港(成田、関空、中部)にあるGR社のカウンターで日本円で還付を受けることができます。
税金還付申請用紙の書き方例は
コチラにもあります参考にして下さい。
(c)GR社と関係のない一般の店:このような店で買い物をしようとする時は、店員に、リファンド用用紙がもらえるか確認したほうが良いでしょう。うまく用紙がもらえれば、品物を購入すると共に、その場で書類を作成、店員にチェックを受けて、帰国後還付請求するための投函用封筒をもらいます。この投函用(返信用)封筒には適正な切手が貼られているかどうかよく確認して下さい。(b)と同様に税関で確認スタンプをもらい、帰国後、書類を送付して、所定の銀行口座やクレジットカード口座に送金してもらう手順をとります。還付までに数週間要するようです。
(3) 免税の事務所(カウンター):
いよいよ最終国より出国する時となり、VATの還付手続きで最も重要なプロセスは、出国審査時に、免税カウンターに行き、品物とパスポートを見せて、リファンド用紙に
確認スタンプを押してもらうことです。
(この
確認スタンプが無いと還付は受けられません。)出国審査前後の基本的な流れは次のとおりです。
対象製品を検査官に見せながら、この
確認スタンプをもらうタイミングは下表の
(A)、
(B)、
(C)です。
到着 ロビー | (A) | チェック・イン・カウンター | (B) | 出国審査 | (C) | 免税店等で最後の買い物 | 機内へ |
(A):対象製品をスーツケースに入れている場合は、この時点で、免税カウンターに行き、ケースを開けて品物を見せながら、スタンプをもらいます。終われば、ケースに製品を収納し、チェック・イン・カウンターでケースを機内預けます。
(B)、
(C):対象製品は少なく、手荷物として機内に持ち込む場合はこのいずれかのタイミングで、免税カウンターに行き、スタンプをもらいます。
この
確認スタンプを押してもらうカウンターの場所は空港により、かなり差があり、臨機応変の対応が必要です。