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エコノミクラスの詳細
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1、エコノミクラスの歴史
2、F,C.Yの語源
3、航空機業界の連合
4、CRSの威力
5、割安、激安チケットの生まれる理由
6、割安、激安チケットの販売の手順
7、エコノミークラス座席ピッチ
8、座席ピッチの不思議
9、トイレ事情
eco-d2a

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1、エコノミクラスの歴史
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飛行機の誕生から、100余年、当初は高価な輸送手段、金持ちのみが利用する交通手段から、現在はだれでも利用できる大衆交通手段となった。そして、航空会社の経営はエコノミークラスをベースにして、ファーストクラス、ビジネスクラスを設けて経営利益を追求しています。これからも、エコノミークラスは需要と供給のもっとも厳しいバランシスの中で運営されていくのは間違いないようです。
wright AP
ライト兄弟の複葉機
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この章では、航空機の歴史の中で、エコノミークラスが、いつ頃生まれたかについて検討します。
avro504
1914年ごろのアブロ504機

米国人のライト兄弟が、ノースカロライナ州のキティーホークで複葉機を飛ばして、約37m、約12秒間の飛行に成功したのは1903年12月17日のことでした。
この成功はたちまちにして、残念ながら、”空飛ぶ兵器”への応用が考えられ、 第一次世界戦争が始まった1914年頃には、世界の主要国で、多くの軍用機(アブロ504は1万機も製造された。)として、応用されていきました。nurse
人や物資の輸送には、大きな滑走路を必要としない飛行艇が先行してつくられた。民間用、商業用への本格的応用は、大きく遅れ1930年になって、初めて、米国で、スチュワーデスの乗った旅客機が就航しました。
1930年~1940年代の旅客機は機内の温度や圧力調整が十分でなく、多くの乗客が体調不良におちいったので、スチュワーデス(当時はクーリエ=”旅行の世話役”と呼ばれた)はもっぱら、看護婦役として活躍しました。又、この時代では、列車より速い空の旅を求める客が利用し、高額で、全席ファーストクラスでした。
b-307
1940年ごろ、初めて与圧装置がついた
ボーイング307

1940年になって、機内の与圧空調装置が装備されるようになると、利用者も増え「豪華クラス」「一般クラス」とに区分けされるようになっていった。米国の国際線においては、1952年に「ファーストクラス」「ツーリストクラス」2クラス制が取り入れられ、1958年になると「ツーリストクラス」よりも、さらに20%安価なクラスが登場し「エコノミークラス」と呼称された。そして、今日のように、大量輸送時代をむかえると航空会社は旅客ニーズを、できるだけ豪華な機内サービスを求めるファーストクラスと、よい機内サービスは犠牲にしても、より安価な航空券サービスを求めるエコノミークラスとその中間的なビジネスクラス(プレミアムクラス等、呼称はいろいろあります。)の3階級に分けて運行経営するようになりました。このようにクラスによって求められるサービスの観点は異質なものとなり、当然、機内の雰囲気もかわってきます。
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2、Fクラス、Cクラス、Yクラスの語源
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ファーストクラスの”F”はその英語の頭文字に由来する。ビジネスクラスの”C”はClipper(快速艇)からきたと言われ、エコノミークラス”Y”はEconomyの語尾から来たと言われています。これら語源について考察します。clipper
ライト兄弟が初めて飛行に成功(1903年)した後、飛行機の開発、発展は目覚しいものとなりました。
1914年ごろには多くの飛行艇(右図は戦前最大と言われたチャイナークリッパーのイメージ図)が造られました。多くの人々は、飛行機とは”空飛ぶ船”のイメージもったようで、飛行機関連の名称において、船に由来したネーミングが多く取り入れられました。キャプテン、エアポート、キャビン、クルー・・・等が上げられ、飛行機で初めて2クラス制が取り入れられた時(1940年頃)のファーストクラス、ツーリストクラスも元々は客船を模擬したものでありました。
clipper
パンナムビル屋上から飛び立つ
ケネディ 空港行きヘリコプター便
(クリッパー)
ニューヨークのマンハッタン島から、忙しいビジネスマンをケネディ空港に運ぶヘリコプター便があります。この便を、過っての快速艇をイメージしてクリッパー便と呼び、この便を使う人々はクリッパークラスの人々を呼ばれました。
彼等にとっては費用よりも時間とスケジュールが重要で、エコノミークラスより割高であるが、予約し易いビジネスクラスに搭乗しました。ビジネスクラスをCクラスと呼ぶのはこのクリッパーから来たと言われています。
近年、米国の国内線ではファーストクラスが消えて、ビジネスクラスとコーチクラス(Coachは、この場合ノンストップの長距離バスを意味します。)の2クラスとなりました。このコーチクラスはいわゆるエコノミークラスですが、米国人はエコノミークラスという名称を好みません。米国ではエコノミークラスと言うよりもコーチクラスをいう方が理解され易いようです。
さて、全世界的に、割安クラスはエコノミークラスとの呼び名が一般的となり、この略称としては”Yクラス”と呼ばれています。
これは”Eクラス”ではファーストクラスの”F”の上になるので、Economyの語尾の”Y”をとったというのが通説となっていますが、なかなか納得しにくいものです。確かにエコノミークラスはファーストクラスに比べ、価格面では大きな差がありますが、ファーストクラスの乗客は、ほろんどが社用か大きな組織の派遣客で、自分のフトコロは痛まない客が多いものです。
それに対して、エコノミークラスの乗客は自分のフトコロを痛めて、限られた予算の中から 出費し、旅を計画しています。飛行機をあくまでも移動の手段として割り切り、苦行を覚悟で利用し、旅本来の意義を体感します。乗り切った達成感や、旅の喜びは”F” に比べてはるかに大きいものです。なにも”F” に遠慮して語尾を使う必要はない。旅の喜びを生み出す ”Yield”の”Y”が選択れたのではないか。と当工房では推測しています。

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3、航空機業界の連合
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航空業界は今や、全世界規模で相互連帯や、補完関係を強めています格安チケットを販売するにしても、
この枠組みの中で行われています。
航空会社は運賃一つ決めるのに次のような条件を考慮しなければならないと言われています。
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1)各国の規制緩和や自由化の方向と矛盾しなしか。
2)運賃の改訂や設定は、各国政府の認可が容易にとれるか。
3)世界的な運賃ルールに反していないか。
4)運賃改訂や新たな設定を各国の通貨で速やかに実施できること。
5)各国の飛行機の乗り継ぎや費用清算が容易にできること。
6)需要動向や将来の見通しに矛盾していないこと。
7)需要の喚起やピ-クロード時の平準化につながること。
8)発展的競争価格になるか。
9)収益計算上許容される価格か。

これらの要因は互いに相関を持っており、このつながりをまとめると右図のように ペンタゴン図形となります。
(長谷川通 著 国際航空運賃の経済学より)
pentagon
CRS:Computer Reservation
System

IATA:Intenatinal Air
Transport Association
(国際航空運送協会)
運賃決定時の、航空会社をとりまく,ペンタゴン要素;4つの項目と夫々の関連をまとめると次のようになります。

1)IATA ・・(Intenatinal Air Transport Association=国際航空輸送協会)
IATAは主要な定期運行航空会社によって構成される、私的な組織で1919年にスタートしました。その後いろいろ整備されて、1945年園に現在の組織が成立したと言われています。ジュネーブとモントリオールに本部を持っています。
日本航空は1954年に、日本エアシステムは1988年に、全日空は1989年に正会員になりました。
そして、その機能は
(1)航空業界のスポークスマンとして、各国政府、地域組織、空港当局に働きかけて航空業界全体の代弁者
として、調整業務にあたる。
(2)複数の航空会社を乗り継いで旅をする旅客から運賃収入を決裁する。
(3)加盟航空会社の運賃、スケジュール、運送サービスを調整する。

各国にまたがる乗り継ぎ便やその費用が一冊のチケットとしてまとめられ、一度の支払いですんだり、荷物が
行方不明になっても全世界を追跡するシステムは、まさに、ITATが果している機能です。

2)フリーエイジェント・・(運賃申請代行者)
各航空会社は、変動する膨大な運賃を採用するにあたり、各国の政府に認可を求めます。この申請には時間と費用を要するものですが、このとりまとめを専門機関となるフリーエイジェントに委託すれば効率的となります。
フリーエイジェントは航空会社を代行して、運賃を各国政府に申請し認可をえます。また、運賃データを編集して、CRSに提供する役割も果しています。

3)CRS・・Computer Reservation System(コンピュータによる座席予約システム)
航空会社や旅行代理店は、このCRSを利用し収益管理(イールドマネジメント)を行い、格安チケットや激安チケットを販売しながら収益をあげています。
過っては、一便に14種類ほどの異なる運賃があると言われましたが、現在はその比ではありません。
Fクラス、Cクラス、Yクラスの全ての座席に、座席毎に、価格の違うチケットが発券されいます。即ち、 客の”ふところ具合”や”購入のタイミング”に見合った航空券が発行されていると言えます。
このCRSによって、季節による需要変動への対応、競争による変動、包括契約による変動等に瞬時に対応し、便毎に収益を管理し、利益を上げれるようになりました。
航空会社はファイリングエイジェントやCRSを駆使して、IATAや各国政府にたいして、各種の手続きや許認可申請を速やかに実施すると共に、めまぐるしく変わる価格変動にも対処できるようになったのです。

4)政府
各国の政府(運輸当局)は、IATAやファイリングエイジェントからの申請事項に関して、確認、調査、査定を行い認可を与えながら、各国の事情に応じた航空行政を行っています。規制緩和や自由化を念頭において、各社が発展的な競争関係を維持すように見張っています。
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4、CRSの威力
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worldCRS運用の威力について述べる前に、世界の航空業界の編成動向について述べなければなりません。
近年、航空行政の完全自由化、規制緩和、民営化等の合理化の波は 時代の要請として、世界の航空業界を覆っています。最強クラスと自認する航空会社でも、この合理化の波を一社単体で、受け止めれる状況です。
高価な機械の需要動向に合わせた効率よい運用、機材補修の集中化、高給パイトロットの育成、市場開発、需要の喚起等々・・・、今や国境を越えた連帯、連合が必要となり、 いわゆるアライアンス(企業同盟)がおこなわれています。今や3のグループにまとまりつつあります。

その概要を次のようにまとめることができます。
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グループ名
所属航空会社
スター
アライアンス
(17社)
ユナイテッド航空、ルフトハンザドイツ航空、スカンジナビア航空、エア・カナダ、
タイ国際航空、オーストリア航空、シンガポール航空、全日本空輸、アシアナ航空、
ニュージランド航空、USエアウェイズ(アメリカウエスト航空)、
スイスインターナショナルエアラインズ、TAPポルトガル航空、スパンエアー、
LOTポーランド航空、南アフリカ航空、BMI
スカイチーム
(11社)
デルタ航空、エールフランス、アエロフロート・ロシア航空、  ノースウエスト航空 ・メヒコ、大韓航空、中国南方航空、KLMオランダ航空、アリタリア航空、チェコ航空、
コンチネンタル航空、アエロメヒコ航空
ワンワード
(10社)
アメリカン航空、日本航空グループ、ラン航空、カンタス航空、マレーヴィ・ハンガリー航空、ブリティシュエアウェイズ、キャセイ・パシフィック航空、イベリア航空、
フィンランド航空、ロイヤル・ヨルダン航空
アライアンスは、本来、企業間の資本提携や市場開発を主目的とするものでありましたが、さらには、運行便の共同共有化をすすめるようになりました。今や、便名(コード)を共有(シェア)する、コードシェアリング(共同運航)も一般的となってきました。日航とアメリカン航空の世界最大の106線、週1500便や、全日空とユナイテッド航空83路線で週1470便等が代表格です。
路線が同じであれば、互いに乗客を振り分けしたりします。例えば、日航でUSA alianceまで飛ぶ時、USAのローカルはアメリカン航空に乗り継いでいくことが、一枚のチケットでできるようになりました。また、日航だと思って乗り込むとアメリカン航空だったりすることもよくあることです。
今や世界のほとんどの航空会社は同盟や共同運航で結ばれています。そして、この連帯を可能にしているのは、ほかならぬ、CRSなのです。
そして、CRSの機能をまとめると、次のようになります。
1) 世界の航空機のフライトスケジュール、運賃情報の提供。
2) 世界の航空機の運賃変更、改訂を各国の通貨に換算して通知。
3) 最適の乗り継ぎ便の選択
4) 季節変動による価格設定、競争価格の設定、各種格安チケットの販売と収益管理
5) 包括契約のためのホテル、レンタカー予約、観光地情報の提供
このように、複雑な情報管理を瞬時にやってのけるのがCRSであり、このCRSを制するものは航空ビジネスを
制するといわれる程に、主要航空各社は自社を主軸とするメガシステムの構築にしのぎを削ってます。
このCRSは米国で発展し、その代表格がアメリカン航空です。そのサーバーの規模は、まさしくメガCRS
その概要は次のようになります。
1)業務範囲
航空券の予約、発券サービスのみならずホテル、レンターカーの予約、劇場コンサートの予約、切符の手配、パッケージツアー情報
2)規模
(1)開発費・・・・・・・・・・・・・・・・・約10億ドル
(2)関連会社・・・・・・・・・・・・・・・650社
(3)スケジュール表示・・・・・・・350社分
(4)座席予約・・・・・・・・・・・・・・・300社分
(5)フライトスケジュール期間・・195,000区間
(6)運賃その他条件表示・・・・・世界で300万区間
(7)レンタカー・・・・・・・・・・・・・・・20社分
(8)ホテル予約・・・・・・・・・・・・・150社、12,500軒
(9)端末機台数・・・・・・・・・・・・・世界57ヶ国、88,000台
(長谷川通 著 国際航空運賃の経済学より)
3)CRSの威力
CRSの威力をまとめると、膨大な情報を瞬時にコントロールし、各フライト毎の収益管理を行い、また、収益を最大にする旅券販売をおこなる事といえる。
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5、割安、激安チケットの生まれる理由
航空会社は経営が苦しいと言われながら、エコノミークラス格安、激安チッケットが販売できるのはどうしてでしょうか。
結論的に言うと、CRSによって確実に利益がでる座席数の確保ができ、あとは乗ってもらえばよい座席を算出できるようになったからです。pl-line右図は航空機一台の運行にともなう損益分岐点ロードファクターの基本的な考え方を示しています。縦軸は費用・収益を、横軸は座席数をエコノミークラスに換算して表示しています。
例えば、東京発、ニューヨーク行きジャンボ、450人乗りの場合、満席とはエコノミークラス換算で700席
(F:10x10+C:40x5+Y:400=700)に相当すると言われています。
非常に、大雑把に言えば、700席x70%=490席売れば、損益分岐点になり、それ以上売れば、利益が出ます。e-class3 航空会社は、スーパーコンピュータ(CRS)を使用し、過去の多くのデータより、各航路の損益分岐点ロードファクターや割り当てられる固定費を算出します。このエコノミークラス換算で210席を、出発までに完売するため、CRSを使い、需要動向をにらみながら、価格設定します。航空会社は座席在庫をもつことはできず、空気を運ぶわけにはいかないので、いくら低額でも完売を目差します。この過程で、格安、激安チケットも出てきます。
また、直接、間接費用は各便に割り当てられ、固定的と考えられます。 現在、一般的な航空機費用内訳は下表のようになります。
(比率は某航空会社の報告書をベースに試算したのもです。)
No 直接費 比率 No 間接費 比率
(1) 運航乗務員の賃金 8.6% (1) 空港費用 10.3%
(2) 燃料費 14.3% (2) 旅客サービス費用 9.9%
(3) 機材保険料 0.2% (3) 発券販売費用 12.4%
(4) 運航乗務員の訓練費用 0.2% (4) 一般管理費用 6.4%
(5) 運航機材のリース料 6.9% (5) その他費用 6.9%
(6) 着陸料及び航行援助料 6.7%      
(7) 整備改修費用 10.9%      
(8) 機材償却費 6.3%      
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6、割安、激安チケットの販売の手順
実際の航空券の販売はどのような手順で行なれるのでしょうか。対象となる航空便が決まり、その便の損益分岐点座席利用率(ロードファクター)や割り当てられる固定費が算出されると、下図のようなフライト需要曲線が作られます。(詳細は ”長谷川通 著 国際航空運賃の経済学”を参照下さい。)
demandこの例は、座席数と運賃が7クラスに分けられたイメージ図です。今日ではCRSの発達で、ほとんど座席毎に費用が設定されると言われています。 このような販売方式は”セルアップ”と呼ばれています。
この曲線の右下にある最も安いチケット(この場合はマイレッジ客等の無償券客です)グループ1より販売されます。
次のグループ2は最も安価なチケットを求める乗客です。このグループの客は安価でなと、旅行そのものを取りやめてしまいます。1カ月前から購入を始め、割安チケット収得します。
このチケットでは時間変更できない、払い戻しできない等厳しい条件がつきます。そして、出発日が近づくにつれて条件を緩和しながら、運賃は少しずつ上昇していきます。フライト直前になると、もっとも高額な普通運賃のみが販売されます。このように、低額な航空券から、順次、高額なチケットへと誘導されていくのがポイントです。最後に空席がでそうになると、フライト需要曲線の最初(グループ2)に戻り、格安、激安チケットが出現することになります。
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7、エコノミークラス座席ピッチ
航空機の座席ピッチについて、ファーストクラスやビジネスクラスでは、その”ゆったりさ”を強調PRするためにしばしば公開されます。しかし、エコノミークラスでは需要と供給の関係で座席数は増減し、便毎に設定されるので、現実のものは公開されません。
但し、東京ーニューヨーク間のように、高収益路線では,安定したピッチ34インチが公開される場合もあります。エコノミークラス座席ピッチは28~34インチの範囲で変化し、32インチ(約82cm)が平均値と言われています。
seat2
A:座席ピッチ
B:座席高さ
seat3
C:座席巾
D:肘掛巾
E:足置き巾
seat1
エコノミークラスシート側面
上図のように、座席の主要な寸法;A,B,C,D,Eに関して航空機、他の乗り物について比較すると下表のようになります。ファーストクラス、ビジネスクラスでは一般的な平均値、エコノミークラスではデルタ機(成田-JFK便)での実測値、他の乗り物も実測値です。単位:cm、()はインチ
寸法 Eクラス
(USA機にて実測)
Cクラス
(一般値)
Fクラス
(一般値)
新幹線
(自由席)
JR
(新快速)
リムジン
バス
A 82
(32”)
99
(39”)
155
(61”)
104
(41”)
90
(35.4”)
87
(34.2”)
B 45 40 40 40
C 46 43 45 43
D 5 5 5 5
E 28 52 38 35
座席の窮屈さを示す座席ピッチ”A”は、飛行機の機種や、航路によってまちまちです。FクラスやCクラスでは十分は大きさがとられている為、議論の対象ではありません。ジャンボ機のエコノミークラスではこの”A”寸法は標準値として、34インチ(86cm)で設計されています。エコノミークラス平均は32インチと言われ、変動巾は28~34インチと言われます。
座席ピッチの変更に関しては次項”座席ピッチの不思議”を参照下さい。
Eクラスに比較的近かった交通機関はリムジンバスで、この座席からイメージしてもらえれば、機内Eクラスの巾が予想できます。また、実際のスペースとなると更に修正が必要です。座席間の内内寸法は、背もたれの厚みにより、10cmは小さくなり、また、前席がリクライニングすると更に10cmは狭くなります。実際着席時には約60cmのスペースに身を置いていることになります。又、注目されるのは、”B”(シート面とフロアー間)寸法です。日本の交通機関のB寸法はほぼ40cmですが、航空機は国際的高さとして45cmとなっています。この5cmの差は多くの日本人にとって、厳しく、5~6時間着席していると、太もも裏が圧迫により、痛くなる原因となっています。身長170cm未満の方は留意ポイントとなります。
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8、座席ピッチの不思議
エコノミークラス座席ピッチは便によって、変幻自在、特に国際線では、日替わりメニュ-のように変更されます。
どのように変更されるのでしょうか。
変更は簡単で、座席はシートトラックといわれるレール上に、ピンで固定されていますが、ピンを差し替えることにより、所定のピッチに変更します。大型機でも1~2時間ぐらいで終了します。
航空会社にとって、1インチ詰め直すことで、一便500~600万円の売上増につながりこともあり、重要な寸法です。一方では、乗客の窮屈度をあげることになり、この問題に触れることは通常、タブーです。
seat1a
フロアーに敷設されたシート
トラック(レール)上に設置された座席
bolt
ピッチ変更ピンを差し
替えてピッチ変更します。
bolt
シートレール上をスライドさせて設置します。

config
上図は、B747-400の一般的な座席配列図(シートコンフィギュレーション)で、スーパーシート27席、エコノミーシート542席、合計569席です。
この例を使用し、Eクラスの座席ピッチ変更をイメージしてみましょう。
一階席のEクラスで各ゾーン、横一列(図の黒塗りシート)追加されたとすると、1~3ゾーンでは、標準ピッチ34インチが31インチ(34インチx9列から31インチx10列)に、4ゾーンでは、標準ピッチ34インチが32インチ(34インチx17列から32インチx18列)に変更され、座席数は40席増加します。
また、4ゾーンを横2列追加すると、このゾーンは30インチとなり、50席増加することができます。実際のシート配列はこのような単純なものではなくスーパシートの配列によってもバラエティのものとなるようです。


9、トイレ事情
lavatoryボタンを押すとブルーの水が出て「シュボー」と吸引される飛行機のトイレ。飛行機にのるといつもお世話になる、このバキューム式トイレの原理は・・・機内の気圧は約0.8気圧、1万m上空では約0.2気圧、汚物タンクのバルブが開くと、この気圧差により一瞬の内に吸引されます。汚水は浄化されて、ブルーに着色さてれ、水洗用に使われます。飛行機のトイレはハイテクで出来ています。
機内にこのトイレユニットは何個設置されているのか。単純計算すると・・・一人使用時間6分(入れ替わり時間1分含みます)とすると1ユニットで一時間に10人利用できます。一人が3時間毎に使用するとしたら、30人に1ユニット必要となります。 長距離路線では、30~40人に1ユニットと言われていますが、納得いくところです。ちなみにB747のジャンボ機では標準13箇所、最大19箇所設置できるといわれています。
汚物タンクは一箇所管理のようで、その容量は・・・乗客一人当たりの排出量は一時間当たり約0.1リットルのようで・・・、0.1リットルx3時間 x 10人x24時間飛行としてx19箇所=1368リットル+α、で2立方メートル程度と予想されます。
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