今や年間2,000万人近い日本人が海外に出かけるようになりました。その内、1,500万人の人々は6時間以上の飛行機の旅をすると言われます。50歳以上の中高年者は約30%(男性20%、女性10%)となっています。(国際観光振興機構のデータより)
最近発症が目立ってきたのは、航空機の性能向上によって、ノンストップで長時間運航する機会が増えたことや、裕福な中高年者の海外旅行が増えたことが考えられます。医学的にはこの症状を「肺血栓塞栓症」と呼ばれているが、この病気には様々の原因があります。
その内、飛行機旅行が引き金になった例が1977年に医学論文で紹介され、
「エコノミークラス症候群」と名づけらたのが最初でした。2000年10月に20代の英国女性が、オーストラリアから20時間あまりの長旅を終え、ロンドン空港に到着した直後に急死した。この事件をきっかけとなって、この
エコノミークラス症候群が注目されるようになりました。
日本では、2001年になって、各地の空港近くの病院で、この症事例が個別に発表されるようになりました。国土交通省所管の財団法人”航空医学研究センター”は統一的な基準で調べ直し、日本宇宙航空環境医学会で実態が発表されました。
同研究センターでは定期国際便が就航する国内21の空港近くにある、111の病院にこの症候群の診察事例を聞き、7病院の診断例の44人をこの症候群に該当すると認定しました。
性別では男性4人、女性40人。平均年齢は61歳でした。全員が国際線の乗客で、搭乗時間は8時間から13時間あまり、半数近くが飛行開始から到着まで、一度も席を立たず、トイレも我慢していた。また、名前のとおり、
エコノミークラスの乗客が31人と圧倒的に多く、ビジネスクラスの客も6人いました。
また、31人には高血圧や糖尿病などの「生活習慣病」がありました。中高年の女性客が多かった理由について問われた同センターは「トイレに行くのを我慢しようとして、水をとるのを控えてた」のも一因と分析しています。予防策として、「普段から、生活習慣病の改善に努めると共に、機内では水分を十分にとり、ストレッチ運動や足のマッサージ運動をすることが大切だ。」と話しています。
2)予防法と危険因子成田空港に近い成田赤十字病院の森尾医師は、
「エコノミークラス症候群」の主な予防法とその危険因子ついて、次のように報告された。
予防法
* アルコールを避け、水分を十分にとる。
* 足の運動に心がける。
* 足のムクム人は弾性ストッキングを履く。
* 深呼吸をする。
* きつい衣服は緩める。
* 禁煙
血栓のできる要因
① 血液が固まりやすくなる。
② 血流が悪くなる。
③ 血管壁の障害
これらと危険因子との関連は
* 経口避妊薬などのホルモン療法用・・・①
* ガン・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・①
* タバコ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・①
* 最近の足の大きなけが・・・・・・・・・・・・・① ③
* 糖尿病や高脂血症など・・・・・・・・・・・・・① ②
* 肥満・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・② ③
* 静脈血栓症の患者・・・・・・・・・・・・・・・・・② ③
* 静脈瘤などの病気・・・・・・・・・・・・・・・・・ ③